140525:困難に直面した時、すぐに制圧すべきか、まず回避すべきか。子供が銃持ってる"My First Rifle"の記事を見て

Diary140525_01

ぼくの、わたしの、「はじめての銃」。自分用の銃を持つアメリカの子どもたちのポートレート : カラパイア
http://karapaia.livedoor.biz/archives/52163761.html

以下引用

 オランダのアムステルダムを拠点にする写真家アン-ソフィア・ケステリンは、『My First Rifle(マイ・ファーストライフル)』というタイトルの写真集を発表した。これは、アメリカでクリケット銃を与えられた子供たち達を求めて米オハイオ州からテキサス州を巡った末に生まれた作品だ。
 クリケット銃は7歳から12歳の子供向けの軽量な22口径で、大きさもキッズサイズになっており、色も豊富にある。ケステリンは自分の部屋で誇らしげに銃を持つ子供達の写真を撮影し、その子供達に「自分が恐れるもの」をノートに書いてもらった。


引用おわり。

ノートに書かれた「怖いもの」は、「ヘビ」とか「クマ」みたいな動物、「どろぼう」の他、「ゾンビ」なんていう完全に杞憂に終わりそうなものもあった。

銃を持つ権利云々みたいな話は難しくてよく分からないけど、「銃」なんていう実力行使のための実力与えたら「困難にあったらまず制圧することを考えろ」というメッセージを少なからず子供に与えることになるんじゃないかと思う。

世の中の困難、全部制圧できたら話が早くていいけど、現実にはそんなはずもなく。そもそも、人間は基本的に、困難に遭遇したらまずはコストの少ない対応策、つまり回避行動を取るのが普通だし最善だと思う。これには合理的な理由があって、例えば猫とかも、具合が悪くなったらとりあえずすぐ寝る。いきなり自分のお腹殴ったりしない。

ごめんちょっと例えが乱暴だった。

自然界では、「天敵に遭ったら全員制圧しろ」っていう前提で設計された生物っていないと思う。っていうか今ちょっと一種類も思いつかない。いても少数派だと思う。こんなの当たり前で、イモムシとかが襲ってくる小鳥を全員毒針で駆逐しようとしたら、毒作るための栄養とかめっちゃ作らないといけない、そのためにモリモリ食わないといけない、今の状態でさえ一日中食いまくる生活送ってようやくサナギになれる栄養蓄えられるのに、毒作る分とか無理や! とかで、どう考えても効率悪いので、「とりあえず親がめっちゃ卵産んで生存確率上げる」っていう解決手段になってる。

そんなこと言ったって毒ヘビだっているじゃん、って思われそうだけど、ヘビって実はすごく臆病で、すぐ逃げる。コブラでさえ、まずは噛む前に逃げようとして、逃げるのが無理なら首をバーって広げて威嚇する。つまり相手の方が逃げるように仕向ける。ビビりすぎだと思う。それでもダメでも、まだ噛まない。口から毒液をピュって飛ばして、「俺毒持ってる!」ってやる。まだ相手が逃げるように仕向けてる。いい加減覚悟決めろ。それでもダメだし逃げられないってなってからやっと噛む。人間がいきなり噛まれるケースもあるけど、それは人間側がふんずけたとかそういうケース。ヘビ側からすればいきなり踏まれて(致命傷負わせるような攻撃されて)んだからこっちも必殺技最初に出さなきゃっていう事なのでこれはまあしょうがないんじゃないでしょうか。

人間だって、道歩いてたらいきなり目の前にいたマッチョがタックルしてきた! っていう状況でも、普通はまず避けようとする、避けるのが難しい距離だったら防御体制(腕とかで体を庇いつつ頭と上体を後ろに引いてこわがる)で受け止めようとする、それも無理ならヒャーッって言ってしゃがむ、などする。
「よし、まずはこちらもみぞおち目掛けて拳を突き入れよう、向こうがタックルするために加速してるから、こっちも走りながらみぞおち突けば相手の勢いと自分の勢いの相乗効果で大ダメージを与えられるぞ!」って一番最初に思いつくような人って、どう考えてもそういう人がサイコパスっていうんですよねっていう気持ちにさせられる。

そんなこと考える異常者なんてめったにいないだろって思うかもしれないけど、小さい年齢から銃を与えられて、「ヘビとかクマとかゾンビが来たら、これで撃ち殺せばいい」って小さいころから考えてる子供、どんな大人になるんだろう。とりあえず「マッチョにタックルされたらこっちも殴り返せばいい」ってすぐ思う大人になる確率は上がりそうな気がする。

こんなことするより、問題を真正面から制圧する前に、まず回避する努力をしたり、ショックを上手に受け止める方がストレスが少ないんだよっていう事を教えたほうがいいと思う。生きていく上で困難いっぱいある。それを全部真正面から受け止めて全部制圧しようとしてあがいても、いつか体が折れて過労になるか、心が折れてうつになるだろう。そんなの合理的じゃないし、そもそも不可能なことしようとしてる。銃を与えられた子供たちは流石にサイコパスにはならなくても、不可能な制圧行動ばかりとって、うつになったり過労になったりして疲れ果てる大人になるのでは。

アメリカとかで乱射事件のニュースが絶えないのも、「銃溢れてる」っていうハードウェアの問題もあるけど、「銃溢れてるしすぐ銃に頼ればいいって思う精神」を生み出す環境にも問題があるんじゃないか。「すぐ銃に手が伸ばせる環境」=「すぐ銃に頼ればいいって思考の人間を生み出してしまう環境」だと思う。「銃の数が多いから銃の事件の数も多いよね」っていうだけの捉え方だと、「そもそもすぐ力で制圧しようとする精神構造」っていうソフトウェアの問題が見過ごされるのでは。

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